名作「伊忍道 打倒信長」とは
「日本人は信長を化物にされたら怒らないのか」のTogetterまとめで思い出したけど、自称・第六天魔王の織田信長さん(49歳)を本当に魔王にしたゲームとしては旧光栄「伊忍道 打倒信長」がかなり初期の作品だと思います。
1991年にパソコン版が出て、1992年にスーパーファミコン版が出ました。スーパーファミコンでプレイした氷河期世代も多かったはずです。その後にWindows XPでもプレイができる復刻版が出ましたが、現在は販売中止となっています。
伊忍道は、信長軍によって滅ぼされた伊賀忍者の生き残りであった主人公が、全国の修練場で修行を重ねて仲間を集めて仇を討つゲームです。史実では本能寺の変が起きて信長が討たれますが、ゲームでは本能寺の変が起きても信長が生きていたという設定になっています。この時に信長がどのように生き延びたかで通常篇と妖術師篇の2つのシナリオがあります。
仲間を集めて敵と戦う通常のロールプレイングゲームとしての要素だけではなく、織田家と戦っている各地の大名家を支援して織田家の領地に攻め込ませるシミュレーションゲームとしての要素もあります。最後の決戦場である安土城に入るためには織田家以外の大名家が近江国と隣接している国まで攻め込む必要があります。毎月の月が変わるときに領国モードが開き合戦が行われることがあります。合戦が行われるかどうかはその月の15日までに決まります。
大名家はいずれも織田家に比べるとかなり弱いので、主人公は修練場で身につけた忍術を使って大名家を支援する必要があります。最初は月の15日までに大名家の依頼を受けて、織田家や敵対している大名家の城に忍び込んで、偵察をしたり城に火を放って兵糧や兵を燃やすところからスタートします。
徐々に信頼を得ることができるようになると合戦にも出陣させてもらえるようになります。この合戦のシミュレーションゲームでは陰陽師が大きな役割を果たして敵の軍団に大打撃を与えることができます。合戦で大きな手柄を立てると大名からの信任も厚くなり、大名に攻め込む国をアドバイスできるようになります。このようにして信長と戦っていくことになります。
信長との戦い・おまけ
妖術師篇では信長は西洋の悪魔を召喚します。織田家の領地では西洋の悪魔と戦うことになります。この辺の世界観は鬼武者とかなり近いものがあります。
信長の最後の台詞「人間を信じて裏切られるのであらば、悪魔の力を借りた方が良いと思った…」。メガテンのような考え方で共感できる部分もあります。本能寺の変を生き延びて、西洋の悪魔を使役して権勢を誇った信長もまた、承認欲求に突き動かされた孤独な魔王であったのですね。
スーパーファミコン版には無いですが、パソコン版には「自宅」を持てるという機能があって、ちょっとムフフなおまけ要素も楽しめます。「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズのオルドに近いですね。
「伊忍道 AR・VR」でリメイクはどうだろう?
こんなに革新的な要素が多数あったのに、伊忍道が1作しか作られなかったのは残念でなりません。信長の野望のように連作になっていたら多くのプレイヤーを獲得できていたと思います。「蒼き狼と白き牝鹿」シリーズと同じようにコーエーテクモゲームスにはリメイクや続編を制作してほしいと期待しています。
現在の要素を盛り込んで作るとしたら、「伊忍道 AR・VR」はどうだろう?恐山など全国の修練場を巡ると忍術を習得することができ、県庁所在地を訪れると合戦に参加したり火を放って兵糧を減らすことができる。古戦場跡を訪問すると合戦のVRゲームが始まるなどしたら面白いし町興しにも役立つと思います。「伊忍道オンライン」で全国で信長と戦っている仲間を集めるのも良いですね。
「信長の野望201X」もコンセプトとしては面白かったけど、戦国武将が現代兵器で戦うよりも、現代人が戦国にタイムスリップして忍術で魔王信長と戦う方が王道だと思うのです。
(信長の野望201X)
「伊忍道 AR・VR」、クラウドファンディングで募集したら資金が集まるかな? 明智光秀になって第六天魔王・信長を討つVRゲームも面白そうです。
- 作者:白峰 旬
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)