マストドンを「今度使ってみよう」と言うだけの人々
マストドンが現在の勢いで成長するかどうかは不透明だけど、少なくとも言えることとして、マストドンを「気になる」と思いながらも「今度使ってみよう」と思う人はWeb系の仕事は向いてないと思う。
マストドンが話題になった時、私の観測範囲でも「今度登録してみよう」と言っている人が沢山いた。「ぜひ今度使ってみてください」と応えながら、おそらくその「今度」って永遠に来ないんだろうな…と生温かく見守っていたけど、やはりそう言っていた人々の大半はユーザー登録することなく今日に至った。
一方、マストドンを初期から使い始めていた人々にはWeb系で活躍している人達が結構含まれている。彼らは新しいサービスがリリースされた時にかなりの高確率で見掛ける、会員登録の敷居が低いお馴染みのメンバーだ。
マストドンは何時でも誰でもユーザー登録ができる。今すぐだって可能だ。そしてブームになる兆しが(ほんの少しだけ)ある。そこに1番乗りでイノベーターになることは無理だったとしても、2番乗り・3番乗りすれば、アーリーアダプターとして変化を肌身に感じて体験することができる。古参を誇ることもできる。腰が動かず「今度使ってみよう」「気になる」とだけ言って様子見を決め込んでいる人々は変化を体験することはできない。「慎重」「用心深い」ことの裏返しでもあるので悪いことではない。ただ、Web系には向いていない。
今日起きていたことが明日は陳腐化するWebの世界
Webの世界の変化は近年ますます速い。今日起きていた出来事や知識が明日には陳腐化することもある。数ヶ月単位の中期スパンも含めると星の数ほど状況の変化がある。変化への柔軟な対応もそうだが、何よりも変化を尊びその中に身を置くことを楽しむ人でないと生き残っていけないだろう。「石の上にも3年」「石橋を叩いて渡る」は別な業界では重要なスタンスである場合も多いが、ことWeb系には当てはまらない。
会員登録の敷居は低い方がいい。ちょっとでも気になったサービスがあったら実際に使ってみることだ。Webサービスは玉石混淆なので時には石を掴むかもしれない。海の物とも山の物ともつかないアヤシいサービスに登録したことを周囲からバカにされるかもしれない。でもその体験は必ずWeb業界で活きる。キャズムを越えるまでの黎明期〜初期のWebサービスは大抵アヤシいものだ。
「こんなの流行らない」「一発屋で終わる」と言う評論家的立場の人も沢山出る。その中で玉を見つけた時の喜びは何にも代え難いものがある。Twitterも2007年始め頃はそんな風に言われてた。facebookが出た時もアメリカの大学生しか登録できなかったが、.eduのメールアドレスを入手してでも会員登録したかった。周囲の評価は時流で幾らでも変わるので気にしなくていい。流行った要因の分析は後付けでできるものだ。
Web業界の仕事をしたいならば、会員登録の敷居は低くして自分のアンテナを信じることが大事だ。変化を尊ばなければ生き残れないだろう。
(アラン・ケイが70年代に提唱したダイナブック)
追記
マストドンが廃れるとしても、それに自ら参加して廃れるのを体験したのと、外野から廃れたという記事を読んだだけなのとは、だいぶ得られるものが違うよね。
— 齊藤貴義@サイバーメガネ (@miraihack) 2017年4月29日

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