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香港・深圳に行ってきた(中編) 深圳の光と闇

   

深圳に行ってみたかった

香港旅行の途中で中華人民共和国の深圳市に行ってきたので今回の中編では深圳のレポ記事を書きます。

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上の写真は深圳の老街にある古井戸跡の銅像です。人口3万人の貧しい漁村だった深圳は、改革開放政策を進める鄧小平氏によって香港に隣接しているという地理上の理由から経済特区に認定され急速に発展しました。現在の深圳の人口は戸籍を持たない人の数も含めると推定約1,200万人と言われています(Wikipediaでは1,300万人表記)。香港の人口が約700万人ですので、既に人口規模では香港を大きく上回っています。

深圳の華強北は秋葉原の30倍の広さと言われる電気街であり、深圳はハードウェアのシリコンバレーと呼ばれています。日々新しいハードウェアが製造され販売されて消費され中古商品も多数出回っています。そのサイクルの速さは驚異的です。当初は粗悪な模造品が非常に多かったのですが、幾度かの淘汰を経て現在生き残っている企業の中には世界的に有名になった企業も結構あります。玉石混淆とはまさに深圳のことを言うのでしょう。さらにキャッシュレス決済が進んで現金払いが嫌がられるくらいQRコード決済が進んでいます。

そんな深圳を一目見てみたいと思い行ってきました。

金盾(グレートファイアウォール)対策

まず深圳を含めた中華人民共和国への入国準備から解説します。中国はインターネットに関して検閲や制限が存在する国です。金盾(グレートファイアウォール)によって共和国の人民のインターネット閲覧は監視されておりアクセスできないネットサービスが多数存在します。Google検索やYahoo検索、GmailやYahooメール、Twitter、facebook、Instagram、YouTube、Dropbox、LINE、Amazon日本版などのネットサービスには接続することができません。

私は自由なインターネットが保障されなければ生きていけないので、この規制は受け容れがたいです。中国国内で金盾の規制を受けないようにするには、大きく2つの方法があります。データローミングまたはVPNです。

データローミングにはドコモなどキャリアが提供する海外ローミングがありますが料金がとても高いです。そして私のメイン回線はLINEモバイルで、LINEモバイルの海外ローミングオプションだと音声通話やSMSは受け取れるのですがデータローミングはできません。そこで中国聯合通信香港のデータ通信用SIMカードを利用することにしました。

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中国聯合通信香港のSIMカードは1枚で8日間5GBまで使える4Gのプリペイド型データ通信カードです。nanoSIMにも対応しています。中国本土でもかなり電波が入ります。通信の自由が保障されている香港経由でデータ通信を行うため当局による検閲を受けません。これによって金盾による規制を回避してモバイルデータ通信を行うことができます。香港でも購入することができますが、日本のAmazonでも安く売られていますので、あらかじめ日本のAmazonで購入しておくと良いでしょう。1枚組か数枚セットが売られています。私は5GBの2枚セット(10GB)を1,780円で購入しました。ただ私の旅行では極力動画を見ないなどデータ通信を温存したため、ブレードランナー風に言うと「1つで十分」でした。このSIMカードを成田で日本を発つときに自分のスマホに挿してAPNの設定をしました。

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もう一つの手段としてVPNがあります。VPNを使って例えば日本のVPNサーバーに接続すれば、それ以降の通信に関しては当局には解読が困難で規制を受けにくくなります。こちらも契約しました。SIMカードは持っていますがホテルのWi-Fiからネット通信を行う時にはVPNがあった方が便利と思ったためです。ただし、最近の中国の金盾はVPNの学習型遮断を実装してきているので注意が必要です。ネットの中国在住日本人のツイートなどでまだ繋がると評判の高かったセカイVPNを契約しました。セカイVPNはインターリンク社が提供する海外向けVPNサービスで、1ヶ月は無料で利用できます。VPN接続に専用のソフトが必要となるので日本であらかじめ自分のパソコンにインストールして接続テストを行ってから出国しました。

キャッシュレス決済対策

中国では日本以上にキャッシュレス決済が進んでいます。その多くがコード決済で、WeChat PayとAlipayの2大サービスがシェアの大半を握っています。Alipayの方が先発していましたが今やWeChat Payが猛追してシェアが逆転しました。現金で支払うと嫌がられるケースも増えていると色々な記事や本にも載っていたため、WeChatとAlipayをインストールしました。

しかしここで大きな問題があり、最近になって中国政府がマネーロンダリング対策で外国人のキャッシュレス決済アプリの使用を制限しようと動き出し、WeChat PayもAlipayも中国に銀行口座を持っている人にしか利用できなくなりました。まさかの鎖国仕様でかなり悩んでいたのですが、旅行に出る数週間前にAlipayが上海銀行経由で外国人にもチャージできるTour Pass機能の提供を開始しました。その機能を使って人民元をチャージできました。

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しかし、この機能も中国政府のさじ加減一つでいつ凍結されるかわかりません。チャージする金額は最低限とすることをマイルールにしました。

香港から中国へ。イミグレーション通過

11月17日に香港旅行の前半を終えた私は、地下鉄が香港中文大学の攻防戦で運休状態であったため、バスで深圳を目指しました。途中の皇岗(ファンガン)というイミグレーションでバスが停車しました。

香港から中国本土に入るためにはイミグレーション(出入国管理)を必ず通過することになります。香港から深圳へ行くには幾つかルートがあり、地下鉄で行くルート、高速鉄道で行くルート、道路で行くルート、フェリーで行くルートなどがあります。皇岗は道路で行くルートのイミグレーションであり、この皇岗のイミグレーションは24時間営業です。

イミグレーションでは手荷物検査がありベルトコンベアに乗せて金属チェックに掛けます。また入国管理官にパスポートを見せてどこから来たのかや宿泊先を記入した入国用紙を提出する必要があります。最近は香港デモの影響で入国審査が厳しくなっており、皇岗で入国審査で呼び止められてスマホの中のデモの動画を消すように言われたケースも耳にしていました。念のためにデモの写真や動画はDropboxとGoogleフォトにアップロードして、スマホのホーム画面からこれらのアプリのアイコンを消してからイミグレーションに臨みました。

結果は秒で通過でした。記入用紙に書いたりなど諸々で数十分は掛かりましたが、無事にイミグレーションを通過できました。この後どうすればいいのか分からなかったですが、奥に進むとバスステーションがあって幾つかのバスが出入りしています。さっきまで乗ってきたバスの系統があるかなと思って探したのですが、どれか分からず…。「どのバスが深圳に向かいますか?」とバス運転手さんに聞いたら「あっち」と指さされ、一番奥のバス停が10香港ドルで深圳まで乗れるとのことで乗車できました。バスでのイミグレ越えはビギナーにはやや敷居が高かったので地下鉄が動いているなら地下鉄を利用した方が良いでしょう。

深圳のホテルは豪華だった

深圳に着いてから色々な発見があったのですが、まずは宿泊先のホテルから。宿泊したのはメトロパークホテル深圳というホテルです。正式名称は深圳維景酒店。繁華街の老街・東門地区から1駅離れた晒布という駅の直上にあります。1泊4千円でかなりコスパが良かったです。このホテルに4泊しました。

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このホテルはマンションのような構造になっていました。元はマンションだったのかもしれません。

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香港では1泊8千円のホテルに宿泊したのですが、深圳の4千円のホテルの方がグレードは上です。部屋はかなり広いです。右のソファがフカフカで快適でした(少し臭かったですが)。

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部屋の中には謎の壺が展示されていました。

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キッチンの収納もホテルとは思えないほど充実していて、元はマンションだった説が濃厚です。冷蔵庫は出力強めでした(青島ビールが凍りました)。

深圳の老街を歩く

ホテルから近いということもあり、深圳の老街(東門周辺)をあちこち散策してみました。

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深圳の老街は上野のような街です。元々は老街の名前の通り古くからの街並みが続く場所だったのですが、繁華街として栄えて近年になって古い街並みは全て取り壊されて街全体が新しくなりました。今となっては冒頭の古井戸とその銅像が当時を偲ばせています。この光と影については後ほど触れます。

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美食城とはフードコートのような意味。深圳のあちこちに美食城があります。屋台が沢山並んでいてどれも美味しそうです。香港では廟街でのナイトマーケットの屋台は地元の人よりも欧米人の観光客の方が多くて「地元民にとってそれくらいのコスパ感なんだろうな…」と思ったですが、深圳の屋台はどれも地元の人で賑わっていました。

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屋台の値段は大体150円〜500円くらい。串焼きは150円で数本食べられます。全てのお店がAlipayかWeChat Payで決済できます。ゴミは思ったほど落ちていません。日本よりゴミ箱がかなり沢山あるのでそれが効を奏しているのかもしれません。

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初めてAlipayで食べ物を買うことに成功した体験プライスレス。Alipayで店頭のQRコードをスキャンして10元と入力して店員さんに画面を見せて購入しました。カレーのようなスパイスが掛かった串焼きでした。

QRコード決済というと日本のSuicaのようなFeliCa決済に比べてワンテンポ遅そうと思う日本人が多いですが、確かに本場中国でもスマホでどう操作したら良いのかわからず店員さんに聞いているお客さんは結構いました。その後ろで私がずっと順番を待っているのに、それを無視して私の前に割り込んで店員さんに声を掛けて買い物をする人民も多数いました。

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街全体がテンションアゲアゲでバブリーな感じです。バブル経済の頃の日本もこんな感じでアゲアゲだったんだろうな。

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バブリーな街を反映してか宝飾店も多かったです。買い求めする人も多数。この辺は御徒町に似ていますね。

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撮影していませんが、宝飾店の近くを物乞いの人が歩いていました。物乞いの人の多さも深圳の特徴で、香港でもホームレスの人が地下通路で寝ているのは目にしたのですが、深圳は香港よりもずっと多くのホームレスの人々を見ました。どちらが資本主義社会でどちらが共産主義社会なのか分からなくなってきますね。

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とても気になる博物館があったのですが、時間の関係で寄れませんでした。

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老街の解放路という共産圏の名前っぽい通りです。マクドナルドやケンタッキーの建物が巨大な城のようになっていて共産主義の亡霊から解放されすぎだろと思いました。

華強北の電気街

秋葉原の電気街の30倍の広さ、ハードウェアのシリコンバレーと呼ばれる深圳の華強北を歩いてみました。

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華強北の電子世界。深圳を旅行した人が皆なぜこの角度からの写真しかアップしないのか分かりました。華強北の建物の中は大部分が撮影禁止です。建物の中でドローンを飛ばしていた人がいたので写真を撮ろうとしたのですが、「おい、撮影禁止だぞ」的なことを言われました(おそらく)。日本のYouTuberがGoProで自撮りしながら華強北の電子世界を歩いている動画も見掛けたのですが、あれは本来はすごく怒られる行為のようです。

華強北を歩いた感想としては、華強北は横に長いというよりは縦に長い感じです。この電子世界のような大きな建物が幾つかあって、そこにテーブル1つ分くらいの小さなショップが無数に入居しています。それぞれに特色がありますが、秋葉原の秋月のように電子工作をかなり網羅している単体オールインワンのショップはそれほど多くはなく、無数の小さなショップが総体として品揃えが豊富なイメージです。スマホの中古販売や修理のお店が非常に多く、それがかなりのウェートを占めています。建物に入らなければ華強北の街としての広さは秋葉原くらいの大きさです。もちろん縦に長いので秋葉原の電気街より遙かに活気があることは間違いないですが、秋葉原の電気街の30倍の広さというのは少し盛りすぎな印象を受けました。

そして西側諸国の新品はあまり安くはありません。西側メーカーのパソコンやカメラやレンズの新品価格を見てみたのですが、円換算で日本のカカクコム最安値と良い勝負な感じです。中華メーカーの新品や電子工作機器はすごく安いです。あと中古も安いですね。ただ、「状態大丈夫なん?」と心配になるような状態で売られているのも多かったので、神経質な人や眼力に自信がない人は買い物をしない方が良いかもしれません。電子工作をする上では最高の環境です。これは間違いありません。

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多分Apple正規サービスプロバイダでは無さそうですが、Apple製品の修理を行っているお店は多数あります。手机とは中国語でスマホという意味です。確かに言い得て妙ですね。

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驚くべきことにここは梱包だけをひたすら行う建物です。無数の梱包業者が入居していて、多数の電化製品を梱包し出荷しています。

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掲げよ国旗。疑念の余地なしな建物も多数ありました。

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1つのビルが丸ごとスマホケースだけの建物もありました。ドラえもんのスマホケースだけを専門に売っているショップもありました。

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深圳ではHUAWEIのショップがApple Storeのような扱いになっています。というかApple Storeの丸パクリですね。

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やっていないお店も多かったです。自分のスペースでご飯を食べている人も結構いました。中国は何事もマイペースです。マクドナルドに飼い犬を連れ込んでハンバーガーを食べさせていた人もいました。スタバでMacでドヤリングしていたら日本人の会話を耳にしました。深圳に来て初めて聞いた日本語の会話で思わず「私も日本人です」と話しかけたくなりましたが、コミュ障なので黙々とパソコンをいじっていました。スタバのストローは紙で日本より進んでいます。

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共産主義国らしくポスターは多めです。

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社会主義核心価値観(富強・民主・文明・和諧・自由・平等・公正・法治・愛国・敬業・誠信・友善)を掲載しているポスターや電光掲示板などのプロパガンダは多数見掛けました。「民主・自由・平等ねぇ…」と乾いた目で見てしまったことは滞在中はナイショにしておきました。NHKスペシャル「映像の世紀」で西ベルリンのプロパガンダとして「東ベルリンにはポスターはあるが商品は無い。西ベルリンには商品がありポスターは無い」という映像作品がありましたが、いま私はポスターがあり商品がある社会を見ているように見えました。

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愛国Lenovo。「私と私の祖国」というドラマとコラボしているようです。

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華強北の駅近くにデパートを見つけました。1階はブランド物と化粧品コーナーで日本のデパートとかなり似ています。中国のトイレは「こ、ここを使えというのか…」と驚愕するクオリティなところが多かったのですが、このデパートのホテルはやっと許容できるレベルの清潔さでした。トイレットペーパーはありません。

華強北で物乞いの人がQRコードを持っている光景を見掛けました。他の地域では見掛けていません。「中国では物乞いの人もQRコードを持っている」というのはややバイアスが掛かっているかと思いました。多くの人々は素手を差し出して物乞いをしています。

深圳の交通事情

中国の道路では絶えず車やバイクのクラクションの音が重層的に鳴り響いて協奏曲となっています。バイクや電動自転車はかなり歩行者の近くを走るため、うっかりしていると衝突しそうになります。

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モバイクを使ってシェサイクルの自転車にも乗ってみました。モバイク対応の自転車のQRコードを読み取るとレンタル画面になり、チャージから支払うと自転車のロックが外れて乗れるようになります。オレンジの車体がモバイクで乗れる自転車です。黄色の自転車より少数派で、さらに実際に乗ってみると壊れている自転車も多かったので乗りこなすのが大変でした。

確かに中国では自転車を使うと移動が楽なのですが、注意すべき点も多いです。中国の交通マナーは控え目に言って最悪です。中国では車・バイク・電動自転車・自転車・信号を守らない歩行者などが多層的に入り乱れており、そこを自転車で走り抜けるにはかなりの慣れが必要です。交通マナーを守らないことが常態化しているためベルやクラクションを少し鳴らしたくらいでは誰もよけてくれません。日本のように自転車のブレーキをキキーっと効かせるだけで前の歩行者が察してよけてくれる文化はありません。

中国の道路を最初に歩いたときはあちこちでクラクションやベルの音が鳴り響いていて「うるさい…もっと静かに運転できないのかな…」と思ったのですが、自転車に乗って気づきました。自分の存在を鳴らし続けないと誰もどけてくれないのです。私も途中からはかなりベルを鳴らしながら走りました。中国の道路事情に慣れるまではコスパが良いかは微妙なところです。私も夜になって視界が悪くなってからは「もういっか…」と思って地下鉄+徒歩に切り替えました。自転車は乗り捨ててレバーを掛けると課金が発生しなくなります。レバーを掛けないと課金が続いてしまうので要注意です。

深圳の地下鉄では駅に入るたびに必ず公安による手荷物検査があります。まず空港のようなベルトコンベアに手荷物を乗せて、人体もエックス線のチェックを受けます。最初に地下鉄に乗ったときにベルトコンベアに乗せた私の荷物がチェックに引っかかったようで、公安の人からすごく強い語気で中国語で何かを言われました。慌てて手荷物を開けて見せたのですが違うっぽい。「Sorry, I'm Japanese」と公安の人に言ったら「Sorry, "Mizu"」と言われました。そうだった、ペットボトル飲料はチェックを通過しないので見せる必要があります。

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深圳の地下鉄は怖くなるくらい綺麗でした。ゴミ1つ落ちていません。共和国の全ての人民や外国人の行動はトラッキングされており、ゴミをホームに捨てたりしたら誰が捨てたのかわかってしまうと思われます。そして地下鉄の初乗りは2元(30円)という破格の安さです。香港版Suicaのオクトパスカードとは互換性がないため深圳のSuicaのようなものを購入して100元チャージしたのですが、結局20元くらいしか使いませんでした。

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深圳の地下鉄には女性優先車両がありました。あくまで優先で男性も乗っていました。

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深圳から日帰りで香港に寄るため、高速鉄道の福田駅(深圳側の停車駅)通路を歩いたときの写真です。やはりゴミ1つ落ちていません。高速鉄道は深圳と香港を約15分間で繋いでいます。地下鉄とは違う場所を通るため大学紛争の影響を受けずに運行していました。最初に深圳に入るときもビギナーには難度が高いバスではなく高速鉄道を使えば良かったと少し後悔しました。

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福田駅の高速鉄道の待ち合わせ場所。多分すごい乗客数を見込んで作られたのでしょうがガラガラでした。

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これも中国らしい光景で、高速鉄道の改札は列車が発車する15分前にならないと通ってホームへ行くことができません。そして改札は出発の4分前に閉まります。この時は準備が遅れていたのか発車10分前に通れるようになりました。利用客は実質10分間くらいの間に改札を通ってホームへ行き、自分の乗る番号の車両の場所で待たなければなりません。高齢者にはかなり厳しいかもしれませんね。ちなみに香港側から乗車したときにはこのような15分前ルールはなく自由にホームに入れました。自由は素晴らしいです。

高速鉄道は一等席と二等席がありますが、全席指定です。2等席に乗りました。指定座席は窓側から埋めてくれる…というJRのような事はもちろんなく車両の前方の席から機械的に鮨詰めです。車両の前方で鮨詰め状態で乗ったのですが後ろの方はがら空きでした。乗り心地は新幹線に近いです。車内販売もありました。福田駅から香港に向かう間はほぼ地下トンネルですので景観は楽しめません。約15分で香港の西九龍駅に着きました。

高速鉄道で西九龍に着いたらイミグレーションで入出国審査があります。香港側に入境申請をしなければいけません。深圳と香港は高速鉄道で15分で移動できますが、外国人はイミグレーションで入出国申請が必要なため1時間ほど時間が掛かります。ただ、香港側に出るのはそれほど審査は厳しくありません。

香港の西九龍駅の改札で係のお姉さんに声を掛けたら笑顔で窓口に案内してくれました。窓口のおばさんが「何があったの?トラブル?」と心配顔で聞いてきたのですが、お姉さんが「違うの、この人は入境審査の途中で自分の切符を無くしただけなのw」とプークスクスと笑っていて、窓口の人もプークスクスと笑ってパスポートを見せたら通してくれました。今まで中国の公安や鉄道員の能面のような無表情ばかりだったので新鮮な気持ちがして西側に来た感じがしました。

逆に香港側から中国側に高速鉄道で入るときはかなりイミグレーションの審査が厳格です。香港に日帰りで行った帰りの高速鉄道のイミグレーションでは、私の目の前で東南アジア系の女性が中国入管の眼鏡っ娘から質問責めされていました。女性は左手に炊飯器を持っていたので危険人物には見えませんでしたが、ビザに問題があったようです。日帰りで香港のデモの写真をひたすら撮り歩いていた私も質問責めされるのではとハラハラしましたが、私は秒で通過できました。

中国のテレビ

ホテルではテレビをつけて視ていました。ケーブルテレビが入っているようです。香港のデモの様子が映ると秒で消えると言われていたのでCNNをつけながら視ていました。

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しかし、香港のデモに関する短いニュースはそのまま放映されました。香港の大学で衝突が起きていることも放映されています。ケーブルテレビだと海外放送はそのまま流れるのかなと思ったのですが、次にCNNが香港のデモに関する長めの特集を流し始めたところ、

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突然映像が切れました。香港のデモの特集が終わって次のニュースに切り替わったときに映像が戻りました。

この後も色々なテレビを視たのですが、突然映像が切れることは無かったので偶発的な出来事とは考えにくく検閲と考えて間違いなさそうです。だとすると先ほどの短いニュースが流れて、長い特集が流れなかった理由は何なのか気になりました。放映時間なのか、検閲者の気づくタイミングの問題なのか、デモ隊側の主張が流れるとNGなのか…。短い滞在期間だったので条件の特定はできなかったですが、おそらくデモ隊の主張が流れそうになると問答無用で消されるようです。

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中国の国営放送(CCTV)の国際版でも香港のデモのニュースは流しています。しかし、一部の香港人が暴力を使って暴動を起こしているという反暴力の意味合いで編集されています。

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「反暴力」や「愛和平」ってウイグルやチベットでの中国側による弾圧問題でもブーメランになっているのではと思いながら視ていました。

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香港警察を支持する人のインタビューは流れますが、デモ隊側の主張は一切流れません。

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中国の国営テレビ国際版では軍事や宇宙のニュースもかなりウェートが大きいです。短い滞在期間のさらに短いテレビ視聴時間でも、宇宙開発は中国が先行しているとか、近年は近海での美国(アメリカ)の軍事的脅威が増大しているが我が方にはこれだけの軍事力があり…みたいなニュースはかなり確認できました。

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YOUは何しに中国へ?中国スゴい系の番組もありました。

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中国でショッピングを楽しむ外国人。

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中華文明の偉大さに触れた外国人。

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最後はみんなノリノリで中国を称え合っていました。

深圳の光と影

だが光ある限り闇もまたあります。

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都市のサイクルが短いということは建物のサイクルもまた短いということ。深圳の各地には新しい廃墟が爆誕していました。

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いま深圳で問題になっているのは農村からの爆発的な人口流入。出稼ぎだけではなく戸籍を一人っ子政策などで持てなかった人々も多数入り込んでいて治安が問題になっています。また貧富の格差も拡大しており、富める人々はタワマンで暮らせますが、貧しき人々は老朽化した住宅でその日暮らしを送っています。先ほど書きましたがホームレスの人々もかなり多いです。深圳に行けば豊かになれるー政府にも頼れず豊かさを求めて集まった人々の流れは誰にも止めることができません。まさに沸騰都市。

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深圳もメインストリートから少し外れると老朽化した住宅を多数見掛けます。そして常にあちこちで取り壊し工事が行われています。この地区でも工事が行われていて地面には何かの飛散防止かシートが掛けられていました。

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ナイキのお店も取り壊されていました。バラバラになったお店の中にはホームレスの方が寝ていました。

色々あったけど楽しかった

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中国に来て道路に出たら凄まじいクラクションの音、店員さんに中国語で話しかけられ「Sorry, I'm Japanses」「ア?」(Japaneseという単語が通じてない)などなど、どうなることやらと思った中国旅行ですが結構楽しめました。写真は蟹市場です。この市場の近くで蟹チャーハンも作ってもらって食べました。

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深圳で食べて一番美味しかったのが最後に食べたこの麻辣風の煮魚。これで58元(約870円)です。最初に生きたままの姿を計って見せてくれました。テレビにも何度も取り上げられている人気店のようです。

再び香港へ

深圳旅行で中国を満喫した後、再び高速鉄道で香港へ戻りました。香港では香港中文大学や香港理工大学でのデモ隊と治安部隊の衝突が激化しつつありました。後編へと続きます。

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救理大(理大を救え)