Wizard Bible本が一般販売開始になりました
今日はCoinhive事件の最高裁での上告審弁論が開かれました。
以前の記事でWizard Bible事件・Coinhive事件・アラートループ事件を扱った本がクラウドファンディング出資者にリリースされたことを書きました。
今回その『Wizard Bible事件から考えるサイバーセキュリティ』の一般販売が開始されましたのでご報告いたします。クラウドファンディングで購入できなかった方も購入できるようになりましたので、この機会にご検討頂ければ幸いです。Wizard Bible事件を中心に、Coinhive事件やアラートループ事件を含めた一連の事件の当事者へのインタビューが掲載されています。前の記事にも書きましたが、下記の方々へのインタビューが掲載されています。
- IPUSIRONさん(Wizard Bible事件当事者)
- Lyc0risさん(Wizard Bible事件関係者)
- 金床さん(Wizard Bible投稿者)
- 元Coinhiveユーザーさん(Coinhive事件当事者)
- モロさん(Coinhive事件当事者)
- 平野敬さん(Coinhive事件弁護人)
- あひるさん(アラートループ事件当事者)
- 啓発者さん(アラートループ事件当事者)
- 加藤公一さん(みんなで逮捕されようプロジェクト)
- 杉山みきとさん(大阪市会議員。アラートループ事件で兵庫県警と接触)
- 松平浩一さん(衆議院議員。国会でCoinhive事件やアラートループ事件を質問)
- eagle0wlさん(セキュリティ研究者)
- ozumaさん(すみだセキュリティ勉強会。全国の県警や裁判所に開示請求)
- asamiさん(情報科教員)
本書の内容の一部は見本として公開されています。こちらのリンクから閲覧できます。
Wizard Bible事件・Coinhive事件・アラートループ事件はとても身近な事件です。次はあなたの身近なところで、あるいはあなた自身の身に起きるかもしれません。本書では不正指令電磁的記録罪の問題点に迫っていくと同時に、どうやって身を守っていくべきかの自衛の手段も解説しています。平野敬弁護士の「Coinhive事件における弁護活動」およびWizard Bible事件で家宅捜索を受けたIPUSIRONさんによる「セキュリティの未来のために」はそのためのノウハウが詰まっています。
Coinhive事件は警察庁が指揮していた
本書の取材を進める中で新たに分かった重要な事実が幾つもあります。本書を執筆するにあたり警察庁に「申報」という行政文書の開示請求を行いました。申報とは警察内部で共有されている報告書です。今回、開示請求できる範囲内の平成30年度分の申報を請求したのですが、不正指令電磁的記録罪関連でおよそ400ページほどあります。その中にCoinhive事件は、「警察庁指揮の下」合同捜査本部が捜査したとする記述がありました。今までCoinhive事件は神奈川県警など地方警察(による合同捜査本部)の暴走と捉えられていましたが、実際には警察庁の指揮下で進められた捜査であったことが明らかになりました。森雅子法相(当時)がCoinhive事件を「複雑困難事件」と呼んだ背景の1つだったのかもしれません。
今日、警察庁から約400ページ分の不正指令電磁的記録罪の『申報』開示文書が届きました。現在内容を解析中です。ざっと最初の方を読んだけどCoinhive事件など仮想通貨のマイニングの摘発事件は県警独自の判断ではなく警察庁が指揮を執っていたとする記述があります。新事実だ。詳細は追って公開します pic.twitter.com/wUDW65m1rv
— 齊藤貴義@『Wizard Bible事件から考えるサイバーセキュリティ』 (@miraihack) 2021年11月22日
申報は開示請求した後に、警察庁側が特例を盾に開示時期を延長するという措置を取られたため、本書の中に掲載することは間に合いませんでしたが、新しい事実は本書のサポートページおよび当ブログでも掲載していきます。来年には兵庫県警のアラートループ事件の申報も開示請求できるようになります。来年また開示請求する予定です。本書の執筆後も継続してこの問題を取材していきます。
よろしければ
よろしければ本書を読んで感想やご意見をツイートしたりブログに書いて頂けたら大変嬉しいです。本書への批判も大歓迎です。本書を通じて不正指令電磁的記録罪を巡る議論がより一層深まることを願っています。
また本書を国会図書館に納本する作業も進めています。一連の事件が風化されないように頑張ります。1人1人の支援が集まって今回大きな力となりました。この力を大事にこれからもこの問題に取り組んでいきます。