雨に濡れた広島
広島旅行編の記事を書く前に色々終わってしまったので未完のままでしたが、印象に残ったことを少しだけ。
呉から広島に着いた時には雨がしとしと降っていました。初めての広島は雨に濡れた景色でした。コンビニでビニール傘を買ってソフマップとじゃんぱらに寄りました。その後に地下道を通って、原爆ドームと平和記念資料館へ。
広島の涙
平和記念資料館には数多くの展示物がありました。「人影の石」などは写真では見たことがあるけど、実際に実物を見ると胸に迫ってくるものがあります。泣き虫な私も思わず泣いてしまいそうになったけど、修学旅行の学生や国内外の観光客も沢山見ている中で、おっさんが1人で泣いているわけにはいかない。泣きたい気持ちをグッと堪えて、淡々と展示物を見て写真を撮ることに専念していました。
一番印象に残ったのは、この溶けたガラスの小瓶でした。
欧米系の観光客と思われる白人の女性が、この溶けたガラスの小瓶の前で泣き崩れていました。小瓶のかたまりを何度も見つめながら涙を流していた。ガラスが溶けるほどの熱線に晒された広島の人々の苦しみとその後を想像していたのかなと思われます。思わずもらい泣きしてしまいそうになった私は、その女性の隣に立って同じ角度から「小瓶ではなくなった塊」を撮影しました。平和資料館には沢山の展示物があってどれも強烈でしたが、私にはこのガラスの塊が一番印象に残っています。
世界平和は遠いけれど、あなたがここで流した悲しみの涙はきっと綺麗な涙なのだと思う。あなたが見た光景を私も残しておきたかった。
グッバイ・ヒロシマ
展示物の最後にはオバマ大統領の広島訪問や折り鶴の写真が展示されていました。今のアメリカを思うとその光景がちょっと心苦しくて、そっと目を流してしまった。
広島駅から広島空港に向かうリムジンバスの中で、隣の席の観光客の男性がデジカメの写真をチェックしながら「グッバイ・ヒロシマ」とつぶやいていました。
私もそんな気持ちで雨に濡れた広島を後にしました。原子力災害が起きている福島に帰るために。
- 作者:鱒二, 井伏
- 発売日: 1970/06/25
- メディア: 文庫