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「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」社会を生きる私達のネット恋愛処方箋

   

ロマンスの神様の一人芝居

「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」(ボーヴォワール)

恥の多い人生を送ってきました。

今までの私を大塚英志『ジャパン』のレーニンになぞらえて、一人芝居はそろそろ幕引きにしたいという来年の抱負記事を昨年12月に書きました。

https://hatebu.jp/entry/2016/12/03/221056hatebu.jp

日本を地図から抹消することで世界政府が成立した22世紀末。レーニン(ミーシャ)は学生時代に世界政府に抵抗する反体制派の学生グループに所属していました。そこでヒラオカやシキブと知り合います。しかし、シキブはこの学生グループの秘密を世界政府に密告。ヒラオカらは逮捕されます(この取調中にヒラオカはシキブと肉体関係を持っています)。レーニンはシキブの人工授精の精子提供者となり、シキブはネハンという子供を出産します。母性による諸民族の融和をスローガンとする世界政府では女性優遇と男性差別が深刻化していました。シキブは香港市長マザー・シキブに就任します。レーニンはマザー・シキブの下で赤狩り(日本人狩り)を遂行する軍人となります。

2093年、ヒラオカは「ストーカー」と呼ばれ、香港で地図から消えた国ジャパンのエンペラーの血を引く子供を探していました。レーニンはヒラオカを捕らえることに成功しますが、ジャパンの亡命政権の動きを探るためにマザー・シキブがレーニンに牢から解放して泳がせることを指示します。

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(『ジャパン』第1巻)

その後、レーニンは香港市庁舎を軍隊で包囲してクーデターを起こします。レーニンは、マザー・シキブと兄のタルコフスカヤ情報相に銃口を向けます。「優しい…というよりは、優柔不断だったのでしょう。今までの私は。だから利用されるだけだった」 クーデター計画は全てが計画通りに進んでのように見えたのですが。

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さらに第3巻ではネハンの瞳に関して重大な事実が明らかになります。そんな一人芝居をしていたレーニンにかなり感情移入することができました。

『ジャパン』が絶版になっているのが悔やまれます。中古ではまだ出回っていますので、読みたい方は中古本のネット通販を使うと良いと思います。

都合のいい男の恋愛遍歴

私の過去の恋愛に関しては、以前「添え膳食わぬは男の恥」の暗号をデコードするのは難解すぎるという記事を書いたことがあります。

https://web-beta.archive.org/web/20151114140754/http://cyberglass.hatenablog.com/entry/2015/10/23/224921web-beta.archive.org

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(ランボー)

この記事は長いので、その後の遍歴も含めて以下に簡単にまとめました。

中学の卒業式の第2ボタン

中学の卒業式の後、劇団ROMANZAの後輩から電話が掛かってきて「好きでした」と告白されて第2ボタンがほしいと言われる。制服を探していたら再び電話があって「学校が違うから、つきあうのは難しいと思った」と言われ、その日のうちに破局。

ホテルに誘われて断ったら破局

高校生の頃の新聞部の県大会で知り合ったいわき市の女子高生とつきあう。その子から「ホテルに行く?」と誘われた。童貞だった私は避妊しても妊娠する可能性があるので深い関係を築けてからと断る。翌日に「考え方が違いすぎるので別れよう」と電話が掛かってきた。

福島と埼玉の遠距離恋愛と溶血性貧血

私が代表をしていた高校生雑誌創刊計画で知り合った埼玉の女子高生と遠距離恋愛。溶血性貧血で1年間入院していて再発したら助からないと聞いて、彼女の隣町・東松山の大学に進学。3ヶ月後くらいに破局。

大学のクラスメートの女子大生と親友

大学のクラスメートを好きになる。私のアパートの部屋で理由なく泣いているのを抱きしめたり、相手の部屋に行って遊んだりした。でもサークルの彼氏と別れていて寂しかっただけで、私と会った後に私の親友とも裸で抱き合っていたことを知る。

千葉の高校生雑誌創刊計画メンバー

高校生雑誌創刊計画の千葉メンバーだった女性が私を心配して、家まで会いに来てくれた。高校時代に千葉から福島まで会いに来てくれた時に告白に近いことを言われていたけど、私は埼玉の彼女を選んでしまった。そんないきさつがあったので、泊まっている間には何も肉体関係は結ばずに楽しく会話をして笑顔で帰りを見送った。それがその女性と会えた最後の機会で、以降は何度連絡しても連絡が付かなかった。

テレクラの女子高生

テレクラの伝言ダイアルで知り合った女子高生と肉体関係。女子高生はテレクラで知り合った色々な男性と関係を持っていたけど、私としたのが一番気持ち良くて、恋愛関係ではなく肉体関係(現在の言葉でいうセフレ)を継続したいと言われた。私は恋愛関係を望んでいたので断った。

自由大学の岩手の主婦

私が運営していた「自由大学」というWebサイトを訪問してくれた岩手県の主婦とネット恋愛。女性は夜に薬とお酒を一緒に飲んでいて、電話するとすごく攻撃的になって破局。その後、自由大学の教授をしていた男性と交際して、その男性から「お前のこと叩き斬ってやるよ」というメールが届く。

ジオチャットの福岡の女子大生

無料ホームページサービス・ジオシティーズのジオチャットで福岡の女子大生とネット恋愛。新幹線で博多まで会いに行って4泊くらい泊まって関係を結んだ。でも同じジオチャットの別な男性に振られて寂しかっただけで、再び東京に帰る時に破局した。

ジオチャットの静岡の看護師

同じくジオチャットで知り合った静岡の看護師とネット恋愛。交際していた医師から振られて落ち込んでいて、ジオチャットのHNがDOCTORだった私と仲良くなった。電話で話したり仲良くなって会いに行く話まで進んだけれど、元彼の医師に私のことを話しに行った時に蕎麦を食べて、蕎麦の湯気で喘息の発作がでて元彼の医師に看病されて復縁。私とは破局。

浪江町の女子高生だった子

浪江町で高校生雑誌創刊計画に加わっていた女性と文通&電話。高校時代に「齊藤君は彼女いるんですか?」と聞かれていて、その当時は埼玉の彼女がいたので「います」と正直に答えたら残念そうにしていました。その女性が専門学校を出て西日本の医療機関に勤めていて、私によく手紙や電話を掛けてくるようになりました。その頃の私は自殺未遂を何度も繰り返していたので、何度も自殺しようとした私に呆れられて消滅。

松屋の店員

中野区に住んでいた時に、ほぼ毎日通っていた松屋の店員の女の子から「かっこいいです」と告白された。その時はホストクラブのバイトなどもしていたので、白いスーツ姿も見せたら「すごく似合ってます」と色々話しかけてくれた。その女性のバイト帰りに一緒に話したりしたけど、その後の進展はなし。

愛知県の女子高生

私が運営していた「次世代情報都市みらい」というWebサイトの掲示板に投稿してくれた愛知県の女子高生とネット恋愛。会う話がまとまって名古屋まで会いに行き、名古屋のホテルで関係を結ぶ。その後、私と一緒に暮らすために進路を愛知の大学から東京の大学に変更するけど、そのことを学校の進路の先生に相談したら大反対されて東京進出計画が頓挫。その後に同じ高校の元彼とよりを戻して破局。

バーテンダーの中国人女子大生

行きつけの中野のショットバーで働いていた中国人の留学生と仲良くなる。バーが閉店する朝5時以降に内緒で会って、デートをしたり食事を食べたり。就職活動の時期が始まってしまって自然消滅。

同僚の女性

恵比寿の勤め先で同期入社の女性がいました。私と女性1人だけが新入社員だったので、打ち合わせに2人で出掛けて一緒に食事をしたりしていました。残業で同じ時間に帰ることが多かったので退社後に2人で飲み行ったり。私はお酒が強いのですが、同僚は酔って立ち上がれなくなってホームで吐いていました。同僚の住んでいる横浜への帰宅が難しそうだったので、中野の自宅まで連れていきました。その後に同僚が絡んできて肉体関係を。私はゴムを着けていたのですが、同僚が「こんなの着けているから気持ち良くないんだよ」と酔いながら言ってきたので外して中で出しました。でも、その後に関係が切れて消滅。

ここまでが2003年 2017年までの経験人数は50人くらい

ここまでが2003年くらいまでの出来事です(女子高生は全て条例施行前です)。残り14年間にも色々な出来事がありました。14年間には出会い系サイト・ツーショットチャット・出会い喫茶・同僚などがあったので、出会いの数は多かったです。正確な数は憶えていないですが、私と肉体関係をもった女性は50人くらいかなと思います。多いのか少ないのかはわかりません。幸いにも病気はもらっていないようです。昨年も主要な検査は受けましたが陰性でした。

ヤリ捨てられる経験が多かった 本当は愛がほしかった

振り返ってみて思うのは、女性にヤリ捨てられたり都合のいい男になった経験が多かったなと思います。短期間のインスタントな恋愛が多かったのは私のパーソナリティに多くの問題がありましたが、女性側も彼氏と別れた・振られた時に私が優しいさで色々な面で支えたり抱き寄せたりしていたので、元気になったら捨てられるパターン。都合のいい男になることが多かったなと思います。

女性にも下心があって、その意図を見抜かないとヤリ捨てられる場合があります。ジェンダー構造が依然として存在する現在、男女にはそれぞれのメリット・デメリットがありますが、女性側のヤリ捨てには社会は甘い面があります。私がその悲劇を話しても「お前もイイ思いをしたんだろう」と男だから小さいことに女々しくならず我慢しろ的な圧力は掛かります。

「添え膳食わぬは男の恥」問題

男性が女性を誘うべきなのかどうかも悩ましい所です。2003年までの恋愛遍歴をとっても、私は女性側のシグナルに気づかずに肉体経験を持たなかったことで相手を傷つけ、その後の関係を失った機会が数度あります。「添え膳食わぬは男の恥」な雰囲気はやはりあって、男性側が意図を汲み取ってリードして明断しないといけない場面も多いです。

(彼氏ができて幸せそうなので少しボカして書きますが)私が今年西日本に行って肉体関係を結んだのも無理矢理に襲ったわけではなくて、以前から「中出しされないと悲しい」「できたら責任を取ってくれるなら会える」とお話を聞いていたことが背景にあります。それで2人で子供の名前の話をして、福島に帰ってからも最初の数日は「また中出しして妊娠させて」などのDMが来ていました。それを短期間であんな風に激しく後悔されたのは傷つきましたが、人の気持ちは変わりやすいので、やむを得ないですね。来週に生理が来なかったら妊娠検査薬で調べることになっています。私の子供だったら責任を持つことは相手に言葉にして誓ってあります。

男性のミスリード問題

ジェンダー秩序が現存するために「男性はこうだから」「女性はこうだから」という雰囲気はやはりあります。どちらもお互いにうらやましい部分がある。ジェンダーを生存戦略として積極的に取り込んでいる女性もいるし、逆のそれを利用している男性もいます。女に生まれるのでは無くても、社会の中で女になっています。でも、そこでステレオタイプであると、主語が大きくなりすぎてしまう問題もあります。

ジェンダー秩序、新しい選択肢を提起しようとするジェンダーフリー、ステレオタイプの3つの作用が絡み合って、その狭間を私達は生きて悩んで恋愛したり結婚したりしているのだと思います。その社会に新しい選択肢を提起するフェミニズム運動があり、私達の社会を更に変えていく方向を信じてしますが、そこに到達するにはまだ険しい道のりが待っているので、社会は劇的には変わらないし変われない。どこかで折り合いをつけないといけない時代を私達は生きています。

そういうメタな社会構造の話だと主語が大きくなってしまいますね。でも恋愛や結婚において私達は等しく共犯者でもあります。男性は明言することが期待される雰囲気のため、ミスリードは必然的に発生しうるし、男女ともに恋愛になると認知の歪みは多かれ少なかれどちらも抱えています。完璧な人間はいないので、お互いに過ちがあったらそれを指摘して反省して修正するキャッチボールと余裕が必要かと思います。ネットが起源の遠距離恋愛だとそういう機会を作るのが難しい問題はありますが、努力を放棄してはいけません。ネットだと相手からの対話アプローチを簡単に遮断できてしまうので、ディスコミュニケーションは増大しやすい傾向があります。

一般論 想像の共同体

一方的に「泊まりたい」「セックスしたい」などが出来ないと会わないは、単なるご都合主義であると思います。ただ、ネットでは言葉が命であるので表現が先走りしやすい所はある。その断面だけを切り出すとキモいのは間違いないですが、まず最初に言葉ありきで、そこから着地点を見出すために対話していくのがネット恋愛の理想のかなーと思っています。相思相愛のネット恋愛である時の一般論です。片思いで先走りは良くないです。

ネット恋愛を「都合のいい男」「都合のいい女」という相互関係から昇華させていくには、アウフヘーベンが必要です。その葛藤の中から何かを掴み取れないならば、その人にとってネットは記号にすぎず、モニタとLANケーブルとTCP/IPの先には生身の人間がいることへの想像が至らないのかと思います。想像を共有することは一人芝居に終わらせない道でもあるかな。

自分への反省も込めて。